院長コラム

2014 11/11

11月 マリッジブルー

朝夕の寒暖の差が激しくなりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
先日、診察券のナンバーが5,000を越えました。
この間5,000人もの方と出会ったかと思うと感慨深いものがあります。
当初は女性の方が多かったものの現在いらっしゃる患者さんの男女比は5:5です。

さて、さだまさしの歌の中に、うろ覚えですが 病気の苦しみ 生きる哀しみ 老いる苦しみ 死ぬ哀しみ というような言葉があったように思います。
生まれた直後から人は意識するかしないかは別として、多かれ少なかれこれらのつらさを知っているのですね。
もちろん一方では喜びも楽しみもあるわけです。
つらい事、耐えられない苦しみで多くの方は抑うつ気分を経験します。
しかし、悪い事ばかりがきっかけではありません。
喜ばしい事でも抑うつ気分は生じます。例えば、引っ越しうつ、栄転うつ、マリッジブルーなどが知られています。

2ヶ月後に結婚式をひかえた女性の方です。32才、事務職で約10年働いてこられました。
恋愛をして婚約し、式の準備をしているうちに、ささいな事で婚約者と意見が合わないことが出てきました。
両家の顔あわせは問題なく済みましたが、その頃から疲れやすい・身体がだるい・本当にこの人と結婚していいのだろうかと不安が出てきました。
考え出すと悪い方へ悪い方へと考えてしまいます。
夜もあまり眠れません。食欲もなくなってきます。
自分に自信が持てなくなり、どうして良いのかわからなくなりました。
ドレスは気に入ったものをと思っていたのに、なかなか決断がつきません。
朝が起きにくくなり、仕事に行くのに涙が出てとまらなくなって母親と一緒に受診されました。
晴れの日の前にこんな気持ちになるとは思わなかったと言われます。
式の準備は大変です。一つづつ決めていかなくてはいけません。
疲れがたまり、又、一生相手と共にやっていくことに心が揺れたのかもしれません。
抗うつ剤を服用して頂いて仕事も休んでいただいて、良くなられました。
心がときめく時は、わずかに脳内のセロトニンの変化が現れるのでしょう。

 

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