診療内容・方針

適応障害

自分で簡単にできる適応障害のセルフチェックです。
これらの項目にあてはまり「自分は心の病気なんじゃないか……」と思ったら、
精神神経科や心療内科を訪れてみましょう。

  • 明確なストレス因子がある(家庭や学校、職場などの人間関係など)
  • 上記のストレスを感じてから 3ヶ月以内に、精神面や肉体面で 異常を感じるようになった。(強い不安や強い胃痛など)
  • それらの異常によって、社会的・職業(学業)上の障害がある。
  • ストレスを感じる状況に身を置くと、精神面や肉体面の異常がより強い現れる。
  • 明確なストレス因子のある環境以外に原因となる精神障害がない。

適応障害とは

職場不適応や登校拒否(不登校)などと呼ばれ、家庭では別居あるいは離婚などといった形であらわれます。

適応障害は、新しい社会生活(進学・独立・結婚・就職・失業・病気など)で誰でも遭遇し得るストレスに対して生活上の変化にうまく適応出来ず、予想外に精神的ダメージを受けてしまいさまざまな心身の症状が表れます。そして通常の日常生活が続けられなくなる状態を言います。

原因となるストレスがはっきりしていて、他の心の病気(うつ病や神経症など)がない場合は適応障害と診断されます。予想外に精神的ダメージを受けてしまう背景には、周囲のサポート不足や本人の精神的な弱点が関与していると考えられています。

適応障害の症状

本人の性格によって様々ですが主に以下の4つの状態に大別され、症状として現れます。

  • 不安症状不安、恐怖感、焦燥感などと、それに伴う動悸、吐き気などの身体症状
  • うつ症状憂うつ、喪失感、絶望感、涙もろくなる
  • 問題行動勤務怠慢、過剰飲酒、ケンカ、無謀な運転などの年齢や社会的役割に不相応な行動
  • 身体症状頭痛、倦怠感、腰背部痛、感冒様症状、腹痛など

適応障害の治療法

治療は人間関係で傷ついた心を癒すには精神療法が中心となります。
適切な治療で短期間(多くは3ヶ月以内)で回復する場合が多く、薬物は期間を限って補助的に用いられます。
重要なのは、ストレスからの解放や免疫をつける事です。
カウンセリングを通して、ストレスフルな状況に適応する力をつけることも、有効な治療法です。

薬物療法

  • 三環系抗うつ薬うつ病の治療に用いられる薬ですが、パニック障害に対しても効果が認められている薬です。抗不安剤やSSRIなどでも効果がみられない場合にのみ使用されるています。副作用として眠気や便秘、起立性低血圧、口の渇きなどの症状があります。
  • SSRISSRIは抗うつ薬の一種でパニック障害にも効果が高くでています。神経伝達物質(セロトニン)が神経細胞への再取り込みを妨げているのを改善する効果があります。
    自己判断でいきなり服用をやめてしまうと、めまいや頭痛、不安感などの副作用が現れますので、必ず、医師の指示通りに服用しなければいけません。
  • 抗不安薬不安・緊張などの症状を緩和する為に使用されている向精神薬の一種で抗精神病薬に比べて作用が穏やかなのが特徴です。日本では主にベンゾジアゼピン系の薬剤が使用され、パニック障害の治療にも用いられます。副作用はフラフラしたり眠気がきたりとが若干強めに表れます。
  • その他の薬上記の薬以外で、抗てんかん薬やβ遮断薬などが使用される場合もあります。

精神療法

専門医やカウンセラーと共にストレスに適応できるようストレス耐性を上げるように治療を進めていきます。また、周囲によるサポートが最も合理的と考えられる方法です。
親しい人が相談にのり、共感や助言を行います。
患者さんは、精神的にも支えられ、適度にストレスも軽減され主体性をもちストレスへの対処方法を習得することが出来ます。

適応障害の原因とは・・・

適応障害は、うつの様な脳内のホルモン分泌などの異常があるわけではありません。
症状を起こす多くの人の性格が真面目でストレスに弱い人がかかりやすいといわれています。
自分を限界まで我慢させてどうにか環境に適応しようとした結果、適応できずに悩んで苦しみ心身に様々な症状が出てしまいます。

家族や周囲の方へ

患者さんの本来の性格や本質を忘れないであげてください。

本人の治療だけでなく、周りの人の理解や協力が必要不可欠です。適応障害は、ストレスの因子から離れると、症状が一気に軽くなるので周囲の方には仮病やわがままだと感じられ他人には理解しがたい病気だと思います。
適応障害になる前のその人はどんな人でしたか?真面目で、優しく、マメな人ではなかったでしょうか?病気になってからの行動や発言は症状であってその人本来の性格や本質とは異なるのです。
病気への理解を深めて見守ってあげて下さい。

本人の回復を根気強く待ちましょう

わがままに見えたり、怠けていると感じたりすることも多いかと思いますが、人間関係に疲れた患者さんは自制が効かなくなっています。
本質は「頑張らなきゃ」と思い過ぎたり、理想に向かって一生懸命になる性格が病気になってしまったことを考えて下さい。
「叱咤激励」はやめてください。回復に進むにつれ患者さん本人が進むべき道を見つけたら動き始めるでしょう。
回復していくためには、十分な休息が必要なのです。