院長コラム

2014 08/12

8月をむかえて

台風であちらこちらで水害がおこっています。
自然の脅威をあらためて感じる今日この頃です。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

今日は長くうつ病でなかなかすっきりしないという方が、実は双極性障害(そううつ病)だったというお話をします。
抗うつ剤を長い期間飲んでいるが、もうひとつうまくいかない、そんな時、発病時からの経過をよく聞きますと、急に何だかとても楽になった期間があった。
友だちと出かけようという気持ちになったり、旅行に行きたくなったり、買い物もたくさんしたりしたという事はありませんか?
これは、一時的に軽躁の状態になっていたと思われます。

そういう方は単極性うつ病ではなくて双極性障害だと思われます。
治療としては、抗うつ薬は使用せず(わずかに使用する場合もありますが)気分安定剤、抗てんかん薬をベースに使用します。

また、双極性障害にはうつ病に激しい躁状態(人生に大きな傷あとを残しかねないので、入院が必要となります)が起こる双極性障害Ⅰ型とうつ状態と上記のような軽躁状態が起こる双極性Ⅱ型があります。
双極性障害は、薬でコントロール出来れば、それまでと変わらない生活を送ることも可能だと言われつつあります。
しかし、中には難治例がある事も確かです。
放置していると何度も躁状態とうつ状態を繰り返し、その間に人間関係、社会的信用、仕事や家庭といった人生の基盤が大きく損なわれてしまうのが、この病気の特徴のひとつです。

いきなり双極性障害と医者から言われれば、大変驚き、ショックを受けられる方も多いはずです。
しかし、双極性障害から人生を守ることができるのは患者さんだけです。
再発の予防に一番必要なのは、とにかくきちんと薬を飲み続ける事だと思います。
何も症状がない時で、もう大丈夫だと思っても、薬の副作用がつらくても自己判断で薬の中断はしないで下さい。

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